1. 血糖調節異常とは 
  • 検査方法
  1.  アルツハイマー型認知症 

2.1) リコード法

  • 炎症性の場合
  • 栄養性
  • 毒性

2.2) リコード法で推奨する検査

  • 遺伝子検査
  • マイコトキシンプロファイル
  • 動脈硬化度測定
  • オリゴスキャン
  • 毛髪ミネラル検査

 

 

 

  1. 骨粗しょう症 

3.1) 骨粗鬆症と認知機能障害

3.2) 骨粗鬆症の治療

 

 



1.血糖調節異常とは

 医師の間にも余り一般的には低血糖症(血糖調節異常)という病態は知られていません。

通常血糖値は厳密にコントロールされているため、インスリンの過剰な注射インスリンを生産する腫瘍などの特殊な病態でなければ、血糖値が下がりすぎることはないと理解されています。

 

低血糖症は血糖値が低くなる状態であると思われがちですが、低血糖症とは血糖のコントロールが不良になり適切な状態に維持できない状態、『血糖調節異常』であると理解する必要があります。

血糖調節障害、低血糖症は精神症状をはじめとする多くの不定愁訴を起こすことがあります。

 

空腹時に糖質を摂取し血糖値が上昇すると、人の体ではどのような変化が起こるのでしょうか?

血糖値は食事をとる前後で大きく異なります。また血糖値の変動は個人によって大きな差があります。

 

血糖値の変動によって自律神経が刺激されると、動悸・頭痛・筋肉のこわばりなどの身体症状だけでなく、時に不安・恐れなどから幻聴や幻覚などの精神的な症状を引き起こすことがあります。

この検査の結果から新しい角度からの治療が可能となり、鬱、パニック障害、統合失調症、慢性疲労症候群、睡眠時無呼吸症候群、不登校など、症状の改善が得られることがあります。

 

辛い症状が血糖調節異常と関係しているかどうかを確かめることは、その後の治療方針に大きな影響があり、根本的な問題の解決につながることもあります。

 

低血糖症という病態を知りそれまでの人生を振り返ると、かなり長時間、ときに学生時代や幼少期から思い当たる症状がある場合もあります。

精神疾患と誤診されていた多くの患者さんのようになる前に、対策を立てるきっかけになればと思うのです。

 

検査方法

 当クリニックではこれらを「リブレ」「リブレプロ」で検査します。購入可能な方には購入いただき、グルコース値を測定していただいております。

 

厳密に言うと「リブレ」は、間質液細胞種類の液体を測るもので、血糖値を図っているものではありません。血糖値と差が出る場合もあります。

 

※詳細はアボットジャパンのホームページをご参照になってください



2.アルツハイマー型認知症

 4人に1人は65歳以上となった日本において、加齢に伴う認知症の増加は重大な問題です。2025年には、65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症になるといわれております。

 

過剰な糖の摂取は、アルツハイマー型認知症のリスクを高めます。アルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβというたんぱく質の沈着がおこるといわれているのです。

 

フランスにおいて2018年8月1日より、アルツハイマー型認知症の薬は、保険適応から除外されてしまいました。アルツハイマー型認知症は単一の疾患ではなく、複数の病態が絡んでおり、治療法は確立されていません。

【リコード法】

リコード法とは、デール プレデセン博士によるアルツハイマー病改善法です。博士は、研究の結果36の異なる原因を特定され、それを屋根に空いた36の穴と例えました。36の穴を1つだけ治療しても症状の改善は見込みにくく、最善の効果を得るには多くの穴を修復する可能性が必要であるとおっしゃられております。アルツハイマー病を引き起こす原因と考えられる36の因子を1人1人調べ、あてはまる原因要因を取り除いていきます。

リコード法ではアルツハイマー病は大きく分けて以下の3つのタイプに分類されている。

  1. 炎症性:1型炎症性)アルツハイマー
  2. 栄養欠乏性:2型萎縮性)アルツハイマー
  3. 中毒性:3型毒物性)アルツハイマー

なお、1型と2型が同時に発症している糖毒性(甘性)1.5型糖毒性)アルツハイマーも存在する


1)炎症性の場合

 アポリポ蛋白εE4(APoE)アポεE4は、Sirt1(炎症を抑える遺伝子)を停止し、NFβ-(炎症を亢進する因子)を増やします。

 

対策は抗酸化対策:アポリポ蛋白Eε4を有する高齢女性において、血中ビタミンC濃度高値は、将来の認知機能低下リスクの減少と関連するとの報告があります。定期的な高濃度ビタミンC投与は、美白、将来の認知機能障害のリスク低下に効果ありそうです。

【下記に心当たりがある人】

ダニにかまれたことがある、関節炎がある、糖尿病にかかっている、メタボリック症候群  副鼻腔炎、慢性の鼻つまり、ピロリ菌感染

2)栄養欠乏性の場合

 脳のシナプスを保つためにBDNF(脳由来神経栄養因子)は、アルツハイマー病に最も重要な脳の部位前頭葉基底核の受容体と結合し、細胞死を抑制します。BDNFが低下すると、細胞死は増加。または、アミロイドβ-がBDNF受容体と結合するのを防ぐ抗栄養因子として働きます。

これを保つには、運動、ホルモン、ビタミンD、葉酸等の栄養が欠かせません。

【下記に心当たりがある人】

ホモシステイン高値の方

3)中毒性の場合

 40代で発症、鬱症状が認知機能低下に先行します。記憶低下より集中力が低下し、計算不能になります。

【下記に心当たりがある人】

カビ(マイコトキシン)、重金属への暴露、亜鉛低、中性脂肪低


リコード法で推奨する検査

■遺伝子検査

  • apoE4検査  17,820円(税込)
    この検査だけの場合、再診料兼ねております
  • apoE4検査とMCIスクリーニング検査 23,760円(税込)
    認知症予備軍の軽度認知障害(MCI)の兆候をバイオマーカーを用いて早期に発見する血液検査。2,3週間結果に必要この検査だけの場合、再診料兼ねております
  • お薬検査 遺伝子検査 8,316円(税込)
    MTHF677 MTHF1928を検査することにより、葉酸の代謝、リコード法においては、その代謝にSNIPがあることによりアルツハイマー型の認知症のリスクが上昇する。と、ブレジデン博士は『アルツハイマーの真実と終焉』において述べられています。

■マイコトキシンプロファイル

 アルツハイマーのリコード法で有名になりました。

カビは、エアコン、浴室、トイレなど水回りには必ずと言ってよいほど生えています。カビの2次精製産物として産生される毒の総称である。人や家畜などに対して、免疫、もしくは慢性の生理的あるいは、病理的障害を与える物質を尿検査で検査します。朝1番の尿をとり郵送するだけで、侵襲のない検査です。

 

  • ブレートプレインズ研究所 44,000円(税込)
    海外に送りますので、3週間程度必要

■動脈硬化度測定

 血圧脈波測定装置 動脈硬化の指標となるPWV(血管の硬さ)とABI(血管のつまり具合)を簡便に測定。測定時間は約5分

■オリゴスキャン

 ミネラル及び有害金属は、生体内において主に組織中や脂肪細胞でその役割を担ったり阻害していることが知られていることから、従来であれば「組織生検」がゴールドスタンダードでした。

オリゴスキャンは手掌4か所に光を照射することで、「組織生検」とのデーター相関とを簡便かつ非侵襲的に測定することを目的に、ルクセンブルグで開発されました。

独自の特殊なスキャンニング技術を用いて測定し、そのデーターはインターネット経由でルクセンブルグの開発元の莫大なデーターベースを元に解析され、その場でレポート化されます。情報入力、検査、レポートまでわずか3分で終了します。

  • 必須、参考ミネラル20種類 有害金属14元素 14,300円(税込)

■毛髪ミネラル検査

毛髪中に含まれるミネラルや、重金属を測定する検査です。毛髪は、便、尿、汗と同じく人間の大切な排泄機関のひとつです。

『栄養の吸収と阻害する要因』として、重金属の蓄積やミネラルのアンバランスを測定するために行います。

マグロをはじめとする大型魚に含まれる水銀は、体内に入ると血中濃度が上がりますが、すぐに組織に吸収されます。水銀の血中濃度が上がるのは、マグロを食べてから3時間だけです。尿、毛髪、爪の重金属の蓄積やミネラルのアンバランスを測定することは、分子栄養学の処方を決めるうえで重要事項です。

 

自閉症と毛髪中の水銀蓄積の関係を調べた論文があります。自閉症とそうでない子供の毛髪中の水銀レベルを見たものです。結果は、自閉症の子供の毛髪中の水銀濃度は、そうでない子の毛髪の水銀濃度より明らかに少なかったのです。しかも、毛髪中の水銀レベルが低いほど、自閉症が重症だとわかりました。(2003.Jul-Aug;22(4)277-85.Ruduced levels of merecury in first baby haircuts of autistic children.)

これからわかることは、毛髪は水銀の排泄機関だということです。排泄ができない子供ほど、水銀がたまって症状がでているわけです。ですから毛髪検査では、ふたつのことを読み取らなければなりません。水銀の排泄能力と、水銀の蓄積です。

そのうえで、ミネラルの過不足、有害金属蓄積、副腎疲労(副腎のストレス度合)、腸内環境(吸収不良)を見る必要があります。

排泄が正常でも大量の水銀が入ってきている場合は、蓄積は増えてしまいます。排泄能力に異常あれば、水銀の暴露が多くなくても水銀中毒になります。

暴露源を見つけ、侵入路のシャットアウトが必要です。

海産物 (厚生省水俣病、水銀暴露量参考にhttp://www.nimd.go.jp/kenko/kenko_14.html)、塗料、アマルガム、チロメサール、殺虫剤、防カビ、加工食品、水質汚染、赤チンなど

 

■グレートプレインズ研究所 19,800円(税込)

海外に送りますので、3週間程度必要

詳細はこちら→http://ca-nutrients.com/g-4.html

■らべるびい 13,310円(税込)

国内の検査です。結果に10日ほどかかります。



3.骨粗しょう症

■骨粗鬆症と認知機能障害

 当院においてはHITACHI Dichroma Scan DCS-900FX での大腿骨、腰椎のDXAにて、骨密度測定を行っております。腰椎測定 約40秒、大腿骨測定 約20秒という短時間測定で被検者への負担を軽減することができます。

 

 大分大学総合診療部の吉岩あおい先生におかれましても、認知症と骨密度の低下の関連性について啓蒙されていらっしゃいます。肝臓は無言の臓器といわれておりますが、骨も無言のまま、じわじわとスカスカになっていくものと思っております。

子供時代から徐々に骨密度は上がっていき10代で骨密度はピークになり、その後、女性においては、閉経前まで維持されてるといわれております。が、様々な理由で、閉経前でも骨密度低下を認める事が多くあります。

生理不順、過激なダイエット、運動不足、偏った栄養、偏った食に対する知識、性差を問わずアルコールの過剰飲酒、高プロラクチン血症(向精神薬を飲んでいる方に以前は多くみられていた)が原因になる場合もあります。

■骨粗鬆症の治療

 日本の要介護認定者数は、増加の一途をたどっており、その原因として、骨折後の寝たきりが上げられます。骨粗鬆症により、知らない間に骨の中がスカスカになってきて、少しの外力で骨折し、その後に寝たきり、認知機能障害につながっていく方々を多くみてきました。

骨粗鬆症の治療は、骨折して病院に受診し診断がつき治療を開始することが多いように思われます。また、ある程度高齢になれは、骨密度の検査を受けることが多いのですが、痩せている方、生理不順のある方、ダイエットをしたことある方、母親が骨粗鬆症で治療している方などは、30歳からでも骨密度の検査をお勧めいたします。

 

骨粗鬆症の究極の対策と予防は、若い世代の時に骨を丈夫に大きくすることで、閉経、加齢により骨密度の減少を認めても影響を最小限にとどめることです。

骨粗鬆症は早めに知って、食事を考えること、運動を行うこと、サプリや薬を飲むこが大切です。早い年齢であればあるほど、骨密度の低下を予防できる方々も多くみてきました。

 

 分子栄養学的においても、多くの日本人に不足しているといわれているビタミンDは、骨にとっても、全身の免疫に対しても必要なビタミンということが近年再認識されてきております。ビタミンDの血中の濃度は、日焼けを嫌う日本人において、かなり低い値を認めております。腎機能障害のない方にとっては、25OHビタミンDの最適な濃度は40~50 ng/ mlくらいです。(がんの治療をしているドクターに聞くと100くらいを目標といわれますが、その方の病態により目標値は違ってきます)日本人でサプリメント等で摂取をしてない方は10ng/ mlくらいの方を多く見ます。

 

若いうちから、ビタミンD、Kをとることで、良い骨年齢を保てたら安心です。また、アレルギー、免疫の調節に関しても効果のあるビタミンDの血中濃度調べてみるのもいいと思います。

当院では、その方その方の年齢、希望に合わせて、骨粗鬆症の治療を行っております。食事だけで骨粗鬆症の治療をして、骨密度が上昇してくるのは、高齢になるほど夢のまた夢の話になります。若いうちに、治療は始めれば、それも夢ではないか方もおられます。血のつながりのある家族が骨粗鬆症の場合、遺伝的に骨粗鬆症になりやすい方も多くいることがわかっております。一人でも多くの方の骨折を予防し、骨折から認知機能障害になる方を減らすことを考えております。